はじめに
近年、ビジネスの世界では「市場シェア」から「顧客シェア」へのシフトが進行中です。この変化は、企業がどのように顧客との関係を築き、維持していくかという視点を強く求められる時代の到来を示しています。この記事では、市場シェアと顧客シェアの違い、そしてその重要性について詳しく解説します。
市場シェアから顧客シェアの時代へ!
最近 市場シェアから顧客シェアの時代に変わってきたなんて言葉をよく聞きますが
顧客シェアと市場シェアはどう違うのでしょうか?
今日は、その事についてお話ししたいと思います。
まず、市場シェアについておさらいして見ましょう。
市場シェアとは、ある市場における一定の期間において、対象の企業あるいは製品やサービスなどの販売額が占める割合(占有率)のことです。
市場占有率という場合もあります。
「シェア争い」というような言葉でみなさんも使っているのではないでしょうか。
ビジネスのひとつの目標として、この市場シェアを高めるというのがあるわけですが、それは市場シェアを高めることで売上も増えますし、さらに市場の中で重要度や影響力を持つようになります。
たとえば、ある商品がシェアトップと言えば
消費者から見れば一番売れている商品は
- 顧客満足度が高い
- 品質がいい
- 安心感、安定感がありそう
等イメージします。
企業の目標が事業の継続と拡大である以上、当然企業は市場シェアの維持や拡大を目指すことになります。
しかし、市場が成長している時は、市場シェアも有効ですが、
市場の成長が鈍化しているのに、それでもなおやみくもに市場シェアを追求することは、企業間の価格競争が激化し、消費者の価格追求を加速化させる結果となります。
顧客シェアとは?
今日、新規顧客の獲得には、既存顧客の維持・強化に要するには平均で5-10倍のコストがかかると言われています。
成熟市場では、新しい顧客を獲得することに躍起になるより、既存顧客との良好な関係を長期にわたって築くことのほうが企業収益に大きく貢献する場合が少なくないのです。
既存顧客に着目し、いかに長く顧客を引き留めて、自分たちの商品やサービスを買い続けてもらえるか
これが顧客シェアの考え方です。
両者の違いは、
市場シェアは、市場全体に占める割合を見るか、顧客シェアは、個々の顧客に占める割合を見るかです。
たとえば、ユニクロさんだったら
顧客ひとり一人がファッションに使う金額のうちどのくらいをユニクロさんの洋服を買ってもらえたか、という数字ですね。
分母を市場全体にするものが市場シェアで、顧客ひとり一人にすれば顧客シェアになります
このように顧客シェアは、個々の顧客に占める割合を見ることから、自社商品やサービスへの顧客ロイヤルティを測る指標となります。
顧客ロイヤルティとは、顧客が持つ企業や商品に対する信頼や愛着のことをいいます。
あの企業の商品なら安心できるから買ってみようかなというように、
信頼性・愛着からリピーターとなってくれます。
顧客ロイヤリティが高まることにより、
1. リピート率向上、解約率低下
2. 顧客単価向上
3. 口コミによる拡散
等の効果も期待できます。
顧客目線を見失わないこと
利益が出なければ企業活動を継続できないので、どうしても企業側の都合を考えてしまいがちです。
しかし、顧客の満足度を高めなければリピーターは増えませんし、売り上げの確保も期待できません。
顧客目線で考えることをまず第一とし、利益は後からついてくるという考え方で顧客を大事にしていくことが大切です。
それが結果として顧客シェアの拡大につながり、顧客が自社の商品・ブランドを愛し、買い続けてくれる仕組みを作ることが、これからのマーケティング戦略に必要です。
おわりに
市場シェアと顧客シェア、これら二つのシェアの考え方は、ビジネスの成功において非常に重要な要素となります。市場シェアは企業の市場における存在感や影響力を示す指標であり、顧客シェアは顧客との強固な関係を築くことの重要性を示しています。成熟市場においては、顧客との長期的な関係を築くことが企業の持続的な成長の鍵となります。最後に、どんなに優れた商品やサービスを提供しても、顧客の立場やニーズを理解し、それに応える努力を怠ってはならないことを忘れてはいけません。これからのマーケティング戦略は、顧客目線を常に持ち続け、顧客との信頼関係を深化させることが求められます。